上山ラプソディ

こだわりの紅柿づくり

♯7

こだわりの紅柿づくり

須田善昭さん

上山特産の紅柿を栽培し、干し柿を作っている須田青果園代表。若手農家として、今までの手法にとらわれない挑戦を続けている。誰に媚びること無く、自分の信じる道を突き進む。

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分かる人が買えばいい

紅柿は他の地域にもちょっとあるけど、生産に乗るほど実らないらしいです。上山の土に合ってるんです。うちでは窒素性化学肥料を使わず、除草剤も使用していません。剪定で出た枝も全部チップにして畑に還して、エコファーマー認定を受けるために農薬も削減しています。また、製品には酸化防止剤も使わないようにしています。ただその分干し方こだわらないと無添加では作れない。干し柿は、収穫した柿の皮を剥いて干すという単純な工程ではありますが、気温が高いと菌が繁殖してカビてしまうので、干す場所や温度管理にはかなり気を使っています。それに柿を健康に作らないと出来ない。これね、さらさらさら~って説明してるけど、難しいこと。酸化防止剤を使わなければ、他と比べると若干色味が黒くなってしまうので、見た目は良くない。そこで判断されることもあるけど、分かる人だけ買ってくれればいいと思っています。

※紅柿はほぼ上山市で作られている渋柿です。

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続けていくための戦略

干し柿は年末のお歳暮に使われるから、年明けると価格が大暴落。市場価格に影響されないといいなぁと思って、うちは小袋にして、冷凍して通年販売してる。高く売りたいんじゃなくて価格を一定に出来たらいいなって。あとは、近所の仲間6、7人と紅柿のあんぽ柿を作りはじめました。あんぽ柿って乾燥具合が違うものなのね。干し柿と違って、ちょっと柔らかい。干し柿の半分の時間の乾燥で出荷できるから人件費もそこで止まるし、柔らかいのが好きな人の選択肢に入れてもらえる。一般的に農家→農協→市場→スーパーという流れなんだけど、お客さんから農家を一本釣りしてもらえると嬉しいよね。欲しい物とやりたいことが一緒だからブレない。こちらの言い値で納得してもらえるのはありがたいね。

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高層マンションで干し柿づくり?

干し柿だけじゃなくて、自分で作れるように、生柿と縄と作り方を添えて通販もしてます。硫黄燻蒸は普通の人は出来ないけど、家庭で10秒くらい熱殺菌すれば大丈夫。都会でも出来るのかって聞かれるけど、意外にも高層マンションとか最高なんです。名古屋のマンションに住んでるお客さん、めちゃくちゃ良く出来てるらしいです。風吹くから。商品のように白い粉吹かせるのはセンスだけど。いつまでも外に干してると真っ黒になっちゃう。10日から2週間で取り入れないとだめです。

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すべての木が頭の中に

平年だと1シーズンで30~40万個収穫します。剥くのは機械だけど、吊るすのは手作業。全行程を終えるのに1ヶ月近くかかります。朝から晩までの作業で、段取りだけでも1時間。何個の次に、何本あるんですかっていう質問が来るんですけど、分かりません(笑)。でも、あの畑の、あそこのこういう木って言われたら全部分かる。屋号みたいに畑の名前も決まってて「あの畑の北側のこういう木」っていうと、あああれね~って。(近くの木を指差して)「道路沿いの枝がこっちにかかってるやつ」っていうとあれしか無いし、その隣の小さいのは、今言ったやつの隣の小さいの(笑)。こっち側は三本密集しているうちのアレって言えば分かる。

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柿はそんなに好きではない

この風景は、小さい頃からず~っと変わっていないです。100年超えてる木も普通にある。枯木になればなるほど勢いがなくなって小ぶりになるから剪定でキツく切ったりとか。新しく植えることもありますけど、高いんですよ。あと、柿農家は柿あんまり食べないよね(笑)。まずいわけじゃないけど、特別食べたいとはならないですね。年を取れば食べたいと思うかもしれないけどね。

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取材時は収穫期の真っ只中。紅葉した柿の葉が美しい畑の中で話をうかがった。当初、農業を継ぐつもりはなかったそうだが、就職氷河期の影響でこの道に進んだと言う。柿はそんなに好きじゃないと言いつつも、柿の木と共に育ったからか、家族同然のように接しているように見えた。上山の干し柿は早いもので11月末から出荷が始まる。一般的に紅干し柿は12月から。クリスマスくらいが食べごろだそうだ。

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