上山ラプソディ

旅好き絵描きのボランティアガイド

♯1

旅好き絵描きのボランティアガイド

竹内敏夫さん

とっても優しい上山市観光ボランティアガイド。旅に来たからには上山をもっと好きになってもらいたい!という想いで、自作の看板を持ってお客様を迎えている。

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裏山での出来事がきっかけでガイドに

20年前に「観光ボランティアを始めるよー」って時に応募したのよ。その時53歳くらいでまだ勤めている時で、もともとは山形市の生まれだから上山のことをあまり知らなかった。縁あって上山に住むことになって、どういうところに家を建てるかなって時に、山が近いところが良いなーって思って。お城の西側の山の麓に住んでるんです。山登りが好きで、裏にある経塚山に月に一度は登るんだけど、斎藤茂吉が頂上から蔵王を見て詠んだ歌碑があってね。いつだったか駐車場から山道を登ってくる人がいて、それが革靴を履いてんのよ。「この上に行くと茂吉の歌碑があるんですか?」って聞かれて。「はい、真っ直ぐ行くとありますよ」ってだけ答えて別れた。んで、下の駐車場に降りるとタクシーが待ってんのよ。あぁ、あの方は茂吉のファンで歌碑を見に登りに来たのか~と。「あ~」って思ったよね。後の祭り。水先案内人になれば良かったなぁって。茂吉のことはわからなくても上まで案内はできたのにって、悔やんでね。そんなことがあったから、何年かして観光ボランティアの募集を見た時に、これだ!って飛びついた。

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そんな簡単なことなら俺にもできる!

始めた頃は現役で勤めがあったから、ボランティアガイドの研修になかなか参加できませんでした。定年で仕事をしていない人を対象としたボランティアだったから。お城の中の案内を常時やってたんだけど、その頃の私は苦手でね。メンバーには魅力的な人が多くて、相談してみたんです。そしたら「じゃあ竹内さん、お城に来てみなさい!」って言ってくれて、そこで案内のノウハウを教えていただいた。でもね、ベテランの人なんだけど、お城の歴史とかはあんまり説明しないのよ。「お手洗い大丈夫ですか~」とか「エレベーターこっちですよ~」とかの説明なのよ。私の先入観では歴史とかを流暢に案内するイメージがあったから。「竹内さん、お客さんはここまで歩いてきたんだからこれが大事なんですよ~」って。あぁ、これなら俺もできる!って、安心した。「案内用の教科書を全部覚えるというんではなくて、何回か一緒に回っていくうちにだんだん覚えていくから心配ないよ」と言われて、初めて観光ガイドのスタートに立ったわけよ。

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情景が浮かぶようなガイドを目指して

私自身もよ、旅行が好きなの。旅を計画する時は、まずその観光地に観光ガイドがあるかないかを調べて予約して行くの。平泉には有料の観光ガイドがあるんだけど、中尊寺で案内してもらった時に、金色堂の手前に見晴らしの良いところがあんの。金色堂があるのに、そのガイドさんは「下の田んぼとか川をご覧ください」って指差して。「ここは鎌倉時代に10万人くらいの町があって豊かな生活をしていた」と説明してくれた。ガイドさんの言葉で、だんだんと情景が見えてきてよ。パンフレット読むだけじゃなくて、案内を聞くといいもんだなぁ~って。私も来た観光客にはいくらかでも情景が残る案内をできたらいいなぁと思ってやっています。「案内しましょう」と誘っても断る人も多いけど、もったいないなぁ~!って思う。自分のペースで回ってみたいということなんでしょうけど。でも自分の体験もあって、どうせ楽しく旅行するならガイド頼むのはオススメなのよ。予約してくださるお客さんは賢明だなぁって。旅行を楽しむつもりでいるなって。記憶に残る経験が旅行の楽しさの一つだって思う。

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隠しきれない訛り

30分くらい一生懸命標準語で案内させてもらうんだけど、「私の言葉わかったっけが~?こんな説明しかできなくて申し訳ながったな~。どうでしたか~?」って聞くと、あなたのひどく訛った方言がいいって言われる(笑)。その言葉のぬくもりがいいって。「案内してもらって良かった~」ってお客さんから聞くと私自身がものすごく楽しいのよね。そのためにボランティアしてんのよ。旅行楽しかったな~、上山良かったな~、また来てみようって思ってくれるなら尚いいしね。そういう案内ができたらいいなと思ってやってます。なかなか旅先に行って地元の人と話す機会ないから、それだけでも印象に残るだろうし。私としては普段はうだつの上がらない白髪のおじいさんなんだけど、観光ボランティアだから堂々と観光客の方たちに話しかけられる(笑)。それを楽しんでるのよ。

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何にもないから残っている上山の魅力

上山は何にもないことが魅力だね(笑)。お城の展望台に立つと、天守閣から見下ろした町屋敷の風景が見えるのよ。羽州街道の両側に狭い間口の家があって。漫然と一周しただけではわからないけど。上山ではその形が残ってて見えるでしょ~って説明します。上山は何の変化もないからこそ、昔からの佇まいが残っている。東西南北に山が見える盆地で、狭いところに住んでんのよ~私たち。でも、寒暖差があるから果物が美味いのよ~。そんなところで自然が身近にあって、昔の歴史が残ってて、のんびりしたところがいい。不便なところもあるけど、いいとこ見ていかないとね。

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竹内さんは、趣味で上山のお祭りや、古い建物の絵を描いていて、そこに描かれている人々がとても生き生きしていて可愛らしい。そんな特技を活かして、予約してくれたお客様それぞれに向けた案内板を作っている。気に入って持ち帰る方もいるんだとか。とにかく喜んでもらうことが好き!それが楽しい!というのが全身から溢れている。上山での楽しい旅の思い出を一緒に作ってくれるに違いない。

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